源泉徴収税の計算方法(フリーランス向け)
源泉徴収とは
源泉徴収とは、報酬を支払う側(取引先・企業)が、支払いの際に所得税分を天引きして国に納付する制度です。 フリーランスが受け取る報酬の一部は「源泉徴収の対象となる報酬・料金等」(所得税法第204条)に該当し、 支払者が天引きする義務を負います。
フリーランス側は源泉徴収された金額を確定申告で精算します。 請求書に源泉徴収税額と差引請求額を明記することで、振込金額のズレを防げます。
根拠法令・出典
所得税法 第204条(源泉徴収義務)
所得税法 第205条(税率)
東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法 第28条(復興特別所得税)
国税庁 No.2792「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm
税率:10.21%と20.42%の使い分け
源泉徴収税率には「復興特別所得税」が含まれています。 所得税10%(または20%)に、その2.1%分が上乗せされた税率が適用されます。
復興特別所得税の根拠
復興特別所得税は、東日本大震災の復興財源として2013年(平成25年)1月1日から2037年(令和19年)12月31日まで 課される税です。源泉徴収される所得税額に2.1%を乗じた金額が加算されます。 このため基本税率10%は「10% × 102.1% = 10.21%」、20%は「20% × 102.1% = 20.42%」となります。
■ 報酬(税抜)が 100万円以下の場合
源泉徴収税額 = 報酬(税抜)× 10.21%
■ 報酬(税抜)が 100万円を超える場合
源泉徴収税額 = 102,100円 + (報酬(税抜)− 1,000,000円)× 20.42%
※ 計算結果の1円未満は切り捨て
計算例
例1:報酬 50万円(税抜)の場合
計算の手順
100万円以下なので:500,000円 × 10.21%
= 51,050円(源泉徴収税額)
消費税込みの請求額:500,000円 × 1.1 = 550,000円
差引請求額 = 550,000円 − 51,050円 = 498,950円
例2:報酬 150万円(税抜)の場合
計算の手順
100万円超なので:102,100円 + (1,500,000円 − 1,000,000円)× 20.42%
= 102,100円 + 500,000円 × 20.42%
= 102,100円 + 102,100円
= 204,200円(源泉徴収税額)
消費税込みの請求額:1,500,000円 × 1.1 = 1,650,000円
差引請求額 = 1,650,000円 − 204,200円 = 1,445,800円
まとめ表
| 報酬(税抜) | 源泉徴収税額 | 消費税込請求額 | 差引請求額(振込額) |
|---|---|---|---|
| 500,000円 | 51,050円 | 550,000円 | 498,950円 |
| 1,500,000円 | 204,200円 | 1,650,000円 | 1,445,800円 |
※ 消費税率10%(標準税率)を適用した場合。軽減税率対象品目の場合は消費税額が異なります。
よくある間違い
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「消費税込み」の金額で計算してしまう
源泉徴収税は原則として報酬の「税抜き金額」を基準に計算します。 ただし請求書に消費税額が明記されていない場合は税込金額が基準となる場合があります。 請求書には消費税額を明示することが推奨されます(国税庁 源泉徴収Q&A参照)。 -
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すべての報酬が源泉徴収の対象と思ってしまう
源泉徴収が必要な報酬は所得税法第204条に限定列挙されており、すべての業務が対象ではありません。 システム開発・保守・清掃・一般的な物品販売等は対象外となる場合があります。 業務の実態に応じて判断が必要です。詳細は税理士または国税庁にご確認ください。 -
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100万円の閾値を「税込金額」で判定してしまう
100万円の境界は報酬の税抜金額(同一人への同一支払い内)で判定します。 複数回に分けた支払いの場合、1回の支払い金額ごとに判定するのが原則ですが、 業務の実態によって異なる場合があります。 -
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請求書に源泉徴収税額を記載しない
源泉徴収税は取引先が天引きして納付しますが、請求書に源泉徴収税額と差引請求額を明示することで 振込金額の認識ズレを防ぎ、双方の会計処理を円滑にします。